ひじ・ひざの痛み
多くの患者さんが訴えられる痛みの1つです。肘は骨と筋肉・神経が密接な関係になるため何かをきっかけに神経痛が発症します。また、膝は体を支える重要な関節であり、酷使しがちなため、高齢になるとともに変形をきたします。靭帯・骨(軟骨)・筋肉(腱)の絶妙なバランスを保っているため、その中の1つでも崩れると容易に痛みが生じます。日常生活の工夫や内服・ブロック注射をおこなうことで痛みを取り除きバランスを修正していきます。
変形性膝関節症
高齢の患者さんがよく訴えられる痛みの一つです。女性に多く、
名前の通り、膝の関節が変形してしまう病気です。原因としては、膝の関節の軟骨がすり減っていくことで起こると言われています。X線を撮影して膝の変形の程度をみます(図)。変形することで、膝の円滑な動きが損なわれ痛みが出たり、日常生活の動きに支障をきたします。
- 立ち上がった時や階段の上り下りでの膝の痛み
- 日常生活の予防に加えて、リハビリが有効です。さらに膝の関節への注射や神経ブロックをおこなうことで痛みを改善させることができます。改善が見られない場合、手術をおすすめすることもあります。
膝半月板損傷
膝の関節の骨と骨の間には、外側と内側に2つの半月の形をした軟骨があります。
この2つの軟骨は膝の関節のクッションのような働きをしていますが、これらが損傷することで膝が痛くなったり、動かしにくくなったりする病気です。
スポーツなどの怪我から生じる場合と、加齢により傷つきやすくなっている半月に微妙な外力が加わって損傷する場合とがあります。
- 膝の腫れ(水がたまる)、痛み、膝が曲げれなくなる(ロッキング)
- まずは、手術をせずに保存療法をおこないます。保存療法とは、リハビリをおこないながら鎮痛薬を内服していただいたり、膝関節にヒアルロン酸や抗炎症薬などを注入しながら炎症がおさまるのを促します。
症状が軽快しない場合、患者さんと相談の上、手術も検討します。
大腿骨内顆骨壊死
膝関節を構成している、2つの骨の顆部(かぶ:先端部)の組織が壊死する病気です。変形性膝関節症とともに、膝の痛みを訴える患者さんに多い病気です。とくに、60代以上の高齢女性に多く見られます。原因については完全に解明はされていません。
上に示しました、半月板損傷も同時におこっている場合が多く、痛みの原因は複雑です。
- 立ち上がるときの膝の痛み、階段の上り降りがつらい等。その他にも、夜や安静にしているときにも痛みを感じるのが特徴です。
- 膝に体重がかかることによって悪化することが多いため、痛みが強い場合は安静が必要です。鎮痛薬やブロック注射で痛みを軽減させた上で、日常生活の改善やリハビリをおこなっていきます。
肘部管症候群
尺骨(しゃっこつ)神経という神経が首から肘の内側を通って、手の小指の方に進みます。
肘の内側を通る際に、なんらかに圧迫されたり締め付けられることで起こる病気です。 原因は、尺骨神経の脱臼、リウマチ、ガングリオンや骨の変形・靭帯の変化など様々です。
- 手首から小指や薬指にかけての痺れ・手の筋肉が痩せてきたり、変形したりします。
- 安静と鎮痛薬などを内服してもらうと共に、ブロック注射をおこない神経の圧迫をとることで症状が改善します。それらでも改善が見られない場合は、手術をおこないます。
テニス肘(外側上顆炎)
尺骨(テニスのバックハンドストロークでよく起こる痛みであるため、この名前がつけられました。日常生活では、ものを持つ・タオルを絞る・手首をおこすなどで起こります。
原因は、肘の外側にある手首を起こしたりするのに使用する筋肉(短橈側手根伸筋)です。その筋肉の付け根が炎症をおこすことで痛みがでます。
- 肘の外側の痛み
- サポーターや鎮痛薬を内服していただきます。その他、炎症を起こしている部分を超音波で同定し、ブロック注射をおこなうことで痛みを改善させることができます。