腰椎椎間板ヘルニア(ようついついかんばんヘルニア)
腰の骨と骨の間には、椎間板といわれるクッションのようなものが存在します。椎間板は、中心に髄核(ずいかく)と呼ばれるゲル状の物質、それを囲むように繊維輪(せんいりん)と呼ばれる丈夫な組織で構成されています。
図のように、加齢や運動がきっかけで繊維輪に亀裂が入り、内部の髄核が飛び出し、神経とぶつかることで痛みや痺れが生じる病気です。
また、ヘルニアは飛び出し方によって4種類に分類されます。
このうち、脱出型や遊離型は保存療法を行うことで改善しやすいとされています。
痛みの種類としては、神経とぶつかることで痛みが生じるため、痛みはズキズキという痛みより電気が走るようなピリピリとした痛みが出ることが特徴です。若い男性に多く、原因は、スポーツや外傷や重いものを持つ仕事など様々です。細かい診察・腰椎X線の結果などから診断していきます。多くは、診察のみで診断することが可能ですが、細かい部位を調べたり治療に難渋する場合は、MRIを使用し脊柱管内を細かく評価する必要があります。
腰椎椎間板ヘルニアは、腰椎のどの部分でヘルニアが起こっているかによって、痛みの起こる部位は異なります。例えば、下図のように第5腰椎と第1仙椎の間で椎間板ヘルニアが起こると、いわゆる坐骨神経痛(お尻からふくらはぎ・足の裏)に痛みが生じます。痛みの場所を把握することも診断の大事な材料の1つです。
症状
腰の痛み、腰から足にかけてのビリビリした痛み・しびれ
治療
腰椎椎間板ヘルニアは、約80%の患者さんが保存療法で改善するといわれており、さらに手術の再発率は5~10%と報告されていることから、まずは保存療法をおこないます。痛みで生活に大きく支障をきたしていたり、ヘルニアによる筋力低下、膀胱直腸障害(尿や便が出にくい)などがある場合は手術を勧めます。
保存療法は、腰部脊柱管狭窄症の治療とよく似ています。薬物療法・神経ブロック療法などを行っていきます。
薬物療法は、プレガバリン・デュロキセチンといった神経痛の薬やロキソプロフェン・アセトアミノフェンなどの鎮痛薬を内服していただきます。漢方薬やその他の薬も効果が期待できることもあるため経過を見ながら判断していきます。
神経ブロック療法は、症状の原因となっているヘルニアと神経がぶつかっている部分をX線・MRIなどで特定し、神経ブロックをおこないます。炎症を起こしている部分に直接、薬を投与できるため非常に効果的な治療方法です。
主に使用する神経ブロックは「硬膜外ブロック」「神経根ブロック」等があります。